一般の引越し業者は、昼間に仕事をします。
時間を指定しないフリー便などを利用すると、繁忙期などは夕方から作業を開始することもありますが、基本的に夜中に作業を開始することはありません。
しかし、世の中には夜間専門の引越し業者というものが存在するのです。
夜間専門の引越し業者なんて依頼する人がいるのだろうかと思うかも知れませんが、これが意外にも繁盛しているところが多いらしいのです。
いったい、どういった人が夜間専門の引越し業者を利用するのでしょうか?
夜間専門の引越し業者は、たとえそれがどのような理由であれすべて引き受けてくれるようですが、やはり一番多い理由は夜逃げです。
夜逃げというくらいですから、昼間ではなく夜中にこっそりと荷物を運びだすわけです。
夜逃げをする人の多くは、借金が原因となっています。
連日の借金取りの取立てに耐え切れなくなった人が、自宅に戻ることさえできなくなり、最終的に夜逃げという方法を選択することになります。
夜逃げを計画したとしても、それが事前にばれてしまたり、引っ越し先の住所が借金取りに知られてしまっては意味がありませんから、実際に実行するまでには何度も業者と打ち合わせしながら、慎重に計画を進めるわけです。
業者もプロですから、簡単に足のつくようなヘマはしません。
夜間専門の引越し業者は、まさに夜逃げのプロともいうべき存在なのです。
ただ、夜間専門の引越し業者であっても、あえて昼間に引越しをするときもあるのです。
それは、夫などからDV被害にあっている女性が、逃げるときです。
こういったケースでは、夫が仕事に行っている昼間こそが、絶好の逃げるチャンスなわけです。
夫が出勤したのを見届けると、手際よく荷物をまとめてその場をあとにします。
夫が仕事から帰ってきたときには、もぬけの殻になっているわけです。
また、こういった夜間専門の引越し業者への依頼で最近目立つのは、ストーカー被害にあっている女性からの依頼です。
しかし、このストーカー被害による逃亡は、ある意味では一番難しいといえます。
借金取りは真夜中には来ませんから夜逃げが有効ですし、DV夫は昼間仕事をしているので昼逃げが有効なわけです。
ところが、ストーカーというのはいつ出没するのか予想がつかないので、しっかりと犯人の行動パターンを分析したうえで、ベストなタイミングを選んで、引っ越しをすることになります。